83年のデビュー以来、50枚ものアルバムを発表した。
いち早くバイオリンやチェロと競演するなど、クラッシクの世界では、
常に開拓者の役割を担ってきたギタリストだ。14歳でデビューし、
ギターブームの火付け役となった村治佳織さんの師匠でもある。
「火ぃつけるの、得意なんです。僕自身は、一回もブレイクしてませんけどね(笑い)」
茶目っ気たっぷりにそう話すが、その芳醇で切ないギターの音色と音楽への
自由な姿勢は、日本よりもむしろ海外での評価が高い。
ヨーロッパのみならず、中南米やアジアなど、世界中を飛び回り、
演奏や指導に勤しむ毎日だ。
「94年に、キューバ政府に招かれて、レッスンや演奏で2週間ほど
キューバ国内を回っていたことがあるんです。そのとき気づいたのは、
いろんなカルチャーの衝突によって、新しい音楽が生まれているということ。
クラシック音楽っていうと、どうしても欧米中心に考えがちですが、
大西洋を越えて、ラテンアメリカにもギターカルチャーはある。
それぞれの民族が、独自の音楽を持っていて、移民によって
それが混ざりあって、生活のなかに根づいているんですね。
キューバのような国の音楽は、行って、体験してみないとわからない」
7月には最新アルバム「アランフェス協奏曲」を発表。
仙台クラシックフェスティバルでは四つの公演を持つ。
「ギターは自由な学期だということを伝えたいですね」
福田進一さんプロフィール
大阪府生まれ。78年、パリ・エコール・ノルマル音楽院を卒業し、
81年、ラジオ・フランス主催のパリ国際ギターコンクールで優勝